授賞式

by tsuruyuna posted 2016年11月19日 category days

17日は、第2回ホキ美術館大賞展の授賞式でした。多くの美術関係者の方々、作家さんたちと交流できて、とても有意義な一日となりました。

授賞式の後に作品についてのギャラリートークもあり、大緊張、、、。一対一での会話は全然大丈夫なのですが、多くの初対面の方々の前で話すのが不慣れなこともあり上手くいきませんでした、、、。もっと経験を積まなければと反省。しかしながら、たどたどしくても大丈夫、とか、伝わったよ、などと皆様から暖かい励ましのお言葉をいただき、少し救われました。ギャラリートークでうまく伝えられなかったかもしれませんので、下記に今回の作品「ながれとどまりうずまききえる」の作品の解説を載せます。興味のある方は読んでみてください。(文章能力もありませんが、ギャラリートークよりかましだと思います・・・)

今回の受賞のおかげでたくさんのことを学ばさせていただきました。これを励みに次作へ向けてさらに精進してまいります!

 

≪作品解説≫

人は、子供と大人、男性と女性、生と死など、様々な境界線上で揺れ動きながら自身の存在理由を探し求め生きているように思います。私は、そういった人の精神世界や生きることについてを制作の大きなテーマとしています。そこで、今回の作品でモチーフとして描いたのは「水」です。水は、ヴィーナスが生まれ、オフィーリアが最後を迎えたように、美術の世界では生と死の両極にあるものを連想させます。生きることをテーマとしている私にとって、描いてみたいテーマの一つでした。

この作品の舞台となっているのは、佐賀県と福岡県の県境にある渓谷です。少し険しい道を通らなければ渓谷までたどり着けないこともあり、人けがなく神秘的な場所でした。滝なんかもあって、水の様々な表情が見れるところでもありました。水に対して私自身いろいろな想いを抱えてこの渓谷を訪れたのですが、眼前に広がるのは、ただただ流れる水の様だけであり、その自然のエネルギーに圧倒されました。水の音や匂い、温度、空気、光、風など、それらに全ての五感を覆いつくされたような感覚となった時、生きることも同じなのかもしれないと思いました。生きることに何かしらの意味づけをしようとするのは、人特有の面白さでもあり、私もそういったものを描こうとしていますが、ただ水が流れるように、呼吸をし、血が流れ、心臓が動く、そういった生命の活動自体も、単純なことではありますが、尊く、生きることの意味になり得るのではないかと思います。水というモチーフの意味合いを思考的にとらえながらも、人の感覚を刺激するという、その二つを一つの画面に描ければと考えました。

また、人は、自分自身を見つめ、他者を見つめ、その二つの共通点や差異を認識する中で、自身の存在を明確なものにしていくように思います。絵の中の水を観て、生なのか死なのかまた違った何かを想うのか(禅の言葉には汚れた心を洗い流す洗心という言葉がありますね)は、鑑賞者の生きている環境や文化、価値観によってそれぞれですが、水に触れた時の感触は、万人に共通するものだと思います。描かれた水に対する鑑賞者独自の視線と、多くの人と共通する感覚への刺激、この二つによって、鑑賞者が自身の存在を見つめる契機となれば、という想いも込めています。

この作品を鑑賞者それぞれの解釈で観ていただきながら、私があの時あの渓谷を前にした時と同じような感覚を、多くの人と共有できれば幸いです。

構図は、単純ではありますが、水の様々な動きを描きたかったので、奥行きは最小限にとどめ、画面いっぱいに水面を描きました。(これは、私のもう一つのテーマである、写実性と装飾性の融合にも関係しています)そうすることで、鑑賞者が作品の前に立った時に、画面の中に入っていけるような感覚、または、画面の中の水が鑑賞者の足元に迫ってくるような感覚に陥ってくれればというねらいもあります。また、私が水に感じた感覚や想い、感覚への刺激を鑑賞者に直接的に伝えるという点において、写実的な表現はこの作品にとって意味のあるものになっていると思います。

題名に関しては、ながれ=動(生)、とどまり=静(死)、うずまき=動(生)、消える=静(死)、というように、水の動きである動詞を連ねながら、生と死を連想させるようにしています。生と死を交互に連ねることで、自然と生命の循環の意味も込めました。また、あえてひらがなにすることで、日本人らしさと同時に、そのひらがなの流れるような曲線美も水の流れにように見えるという視覚的な意図もあります。(読みにくくて恐縮ですが、、、)

A024鶴友那

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